深い深い穴の底へひゅうぅ、と落ちた
目を凝らして見上げると
微かに見える月明かり
丸い淵がじわりと滲んで
静かに闇が降ってくる


あの人影は私
穴の底から見上げる私を
見下ろす私
過去を恥じて全てを失くそうとした
愚かな自分を嘲笑の目で見ている
思い出したくないけど忘れてはいけない
忘れることなど赦されないの


必死で差し出した手を
あなたが掴んで引き上げてくれた
呼吸が楽になった
きちんと息をしないと
また私は忘れたふりをしないと
そうしないと、