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記憶が毀れている感じがする
髪を束ねようとして、
手首にかけていたはずの
ゴムがないことに気がついた
コーヒーを飲もうとして、
カップに冷め切ったお茶が
入っていることに気がついた
時々、不安になる
箱庭ですれちがう人達は皆、一様に無口で
僕が僕であることなど、
この世には何も関係ないみたいで
自分で自分の足を喰らう蛸みたいに
少しずつ存在が滅えていく気がする
いつか僕がいた軌跡だけ
ほんの少し、留めていて